どうも、こんにちは。ハリー(@hcinemadowntown)です。
今回は映画『クワイエット・プレイス』の感想・考察の紹介です。
全米のオープニング興行収入は5000万ドルを超え、ホラー映画としては異例の大ヒットとなりました。
「音を立てたら、即死」というインパクトのある煽り文句のとおり、ワンアイデアのホラー映画と思いきや、
斬新な設定と家族の絆の物語がうまく融合しており、上質なホラー映画かつ家族映画に仕上がっています。
本記事は本編のネタバレを含むので、ネタバレ苦手な方はご注意ください。
それではいきましょう。
Contents
あらすじ
音に反応して襲撃してくる何かによって、人類は滅亡の危機にさらされていた。リー(ジョン・クラシンスキー)とエヴリン(エミリー・ブラント)の夫婦は、聴覚障害の娘ら3人の子供と決して音を立てないというルールを固く守ることで生き延びていた。手話を用い、裸足で歩くなどして、静寂を保ちながら暮らしていたが、エヴリンの胎内には新しい命が宿っていた。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0023137
スタッフ・キャスト
本作の監督・脚本と一家の父親リー役も務めたのはジョン・クラシンスキー。
俳優としてキャリアをはじめ、監督業にも進出。
『最高の家族の見つけかた』で監督兼出演を果たした。
近作ではamazonオリジナルのトム。クランシーシリーズ『ジャック・ライアン』で主役を演じています。
一家の母親エブリンを演じたのは、エミリー・ブラント。
ゴールデングローブ賞の受賞経験もある売れっ子女優です。
近作では、『メリー・ポピンズ・リターンズ』で主役のメリーを演じています。
そのほかには『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、『イントゥ・ザ・ウッズ』、『ガール・オン・ザ・トレイン』などに出演しています。
父親役の ジョン・クラシンスキー とはプライベートにおいても夫婦関係です。
一家の長女リーガンを演じたのは、 ミリセント・シモンズ。
アマゾン配給『 ワンダーストラック』に出演し、演技力が評価され、 放送映画批評家協会賞では若手女優部門にノミネートされた。
シモンズが演じたリーガンは聴覚障害者の役どころだが、シモンズ自身も聴覚障害者であり、アメリカ手話を用いてコミュニケーションをとっています。
一家の息子マーカスを演じたのは、ノア・ジュプ。
『サバービコン 仮面を被った街』でマッド・デイモンの息子を演じ、 マッド・デイモンが その演技力を絶賛し、ジョン・クラシンスキーに推薦した。その結果、本作への出演が決まったという経緯があります。
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『クワイエット・プレイス』の視聴方法
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【ネタバレあり】感想・考察
開始1秒から始まる緊張感
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
冒頭、映し出されるのは、廃墟と化した街並み。
一家が異常なまでに息をひそめて、物資集めをしているシーンから始まります。
本作はよくあるアポカリプス物(終末物)のお約束である、「世界が滅びていく過程」の描写をあえて描いていません。
なので、観客の我々は、街の様子や、新聞の切り抜きなどの断片的な情報から世界の様子を想像するしかありません。
また、人間の登場人物は主人公一家以外にほとんど登場せず、彼らは世界から隔絶されているかのような印象を受けます。
状況がうまくつかめないまま、ただ一点、「音を立ててはいけない」ということのみが明確に提示されており、否が応でも緊張させられます。
観ているこちらも思わず、息をのんでしまうほど。
一家が生き延びれた理由
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
主人公一家がこの世界で生き延びられている大きな理由として、長女のリーガンが聴覚障害者であることが挙げられます。
長女の聴覚障害のため、一家は日常的に手話を用いたコミュニケーションを行っていました。
さらに、会話だけでなく、生活全般で声、音に頼らない情報伝達の工夫をこらしていたことで、「音を立ててはいけない」世界で上手く生き残っていたのです。
通常の社会ではハンデや苦労を強いられる事柄に対応していたことが、結果として終末世界で役立つという設定は非常に示唆的で面白いと感じました。
ノイズを許さない社会のメタファーとして
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
近年、ネットの発達によって人々の行いは可視化され、常にお互いの動向を気にする社会になっています。
いわゆる”世間の目を気にする”ということがグローバルに広がってしまっているんですよね。
音に反応する怪物というのは、そんな世間の声としてとらえることができると思います。
本作に登場するモンスターは、高度な知能を持って地球を侵略しに来たというよりは、高度に発達した聴覚によってとらえたノイズ消し去るためだけに人間を襲っているような描かれ方をしています。
これは、社会の中で”ノイズ”になりうるものを抑え込んでしまう風潮のメタファーになっていると感じました。
作中において一家は”障害”と”赤子”という大きなハンデを抱えています。必然、社会にたいして何らかの形で影響を与えざるを得ません。
「一家VS怪物」の構図は、一家が協力して世間の目に立ち向かっていく物語として読み解くこともできます。
本作のテーマに類似したものが描かれた作品として『ジョーカー』が挙げられます。
主人公のアーサーは障害と貧困によって社会から爪弾きにされています。
作中、アーサーは「普通でいろと強要してくる世間の目が恐ろしい」とおびえます。
こういったテーマが増えているのは生きづらい世の中が広がっているという感覚を反映しているのかもね。
終盤、怪物の弱点が補聴器から発生するある波長のノイズであることが明らかになります。
”ノイズ”を消し去る世間のメタファーたる怪物の弱点が同じく”ノイズ”であるというのが面白いですよね。
抑え込めないほどの”ノイズ”(=主張)は、世間の暗黙の圧力を打ち破る力を持ち得るという希望を示しているのだと感じました。
生きづらい世界でも未来をつなぐことが大切
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
作中では一家以外の人間の登場人物はほぼ出てきません。ほぼほぼ文明社会は崩壊してしまったと思われます。
そんな中、夫婦はあえて子どもをもうけるという困難な選択をします。
妊娠中、女性は大きな制約を受けますし、出産後も赤子に音をたててはいけないなどということは理解出来ません。
相当な困難が想像されるのに、夫婦はなぜこの選択をしたのでしょうか。
それは、人類が怪物に対抗するためには次世代へとバトンを繋いでいくほかに方法はなかったからに違いありません。
物語のラスト、父親は子供たちを守るために、自らがオトリとなる選択をします。
これも、純粋な家族愛であると同時に、人類の種のバトンを絶やしてはいけないという側面があったのだと思います。
続編情報:パート2の公開決定!
今作が大ヒットとなったことで続編が製作されることになりました。
続編のタイトルは『クワイエット・プレイス パート2』。
※日本の公開予定はコロナウイルスの影響で現在未定です。
こちらの記事では、予告編の映像からパート2の内容について予想・考察しています。
気にする方はチェックしてみてください。
おわりに
「音を立ててはいけない」という設定を、視覚的にも演出的にも非常に上手く活かした作品でした。
90分間、緊張感が持続される上質なホラーでありながら、強く家族の絆を感じることが出来る作品でもあります。
続編の公開が決まっており、今のうちに一作目を予習しておきたいですね。
今ならAmazonプライムビデオで見放題なので、ぜひチェックしてみてください。
それでは、また次の作品でお会いしましょう。