どうも、こんにちは。
はりー(@hcinemadowntown)です。
今回は、『事故物件 怖い間取り』のネタバレのレビューです。
本作は、“事故物件住みます芸人”の松原タニシさんが、各地の事故物件を転々とし、そこでおこる奇妙な出来事を本にまとめた『事故物件怪談 怖い間取り』を原作としています。
ネタのために次々と事故物件に移り住むというウソのようなホントの実話をもとに、ホラー映画界の旗手 中田秀夫監督がメガホンを取ったというからチェックするしかない。
それでは、いきましょう。
本記事は本編のネタバレを含むので、ネタバレ苦手な方はご注意ください。
Contents
あらすじ
芸人の山野ヤマメは相方の中井と「ジョナサンズ」というコンビを組んでいたが、10年間も鳴かず飛ばず。相方から解散を言い渡され、途方に暮れていたところ、馴染みの番組プロデューサーから”事故物件に住んで体験談を披露して欲しい”と依頼されることに。
しぶしぶ探し当てて事故物件に引っ越した初日、ビデオに謎の白いモヤが映る。番組は大いに盛り上がりヤマメも芸人として知名度を上げていく。
さらに人気者になるため次々と事故物件を渡り歩いていくヤマメだったが、彼の周囲で起こる怪奇現象も徐々にエスカレート。
そして、ある物件で想像を絶する恐怖体験が…
スタッフ・キャスト
中田秀夫監督
本作のメガホンを取ったのは、Jホラーの金字塔『リング』を監督した中田秀夫。
96年に『女優霊』で監督デビュー。その後『リング』、『リング2』でJホラーの一大ムーブメントの立役者に。近作では『スマホを落としただけなのに』(18)、『貞子』(19)、『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(20)がある。
山野ヤマメ/亀梨和也
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
売れない芸人。相方・中井と「ジョナサンズ」というコンビを組んでいたが、解散。馴染みの番組プロデューサーに声をかけられて”事後物件”に住むことに。さまざまな怪奇現象に巻き込まれていく。
演じられたのは、ジャニーズの亀梨和也さん。ホラー映画初出演ながら、見事なコワ顔を披露してくれいます。関西弁の売れない芸人役も普段のカッコよさを封印して様になっていました。
小坂梓/奈緒
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
ヤマメにほのかな恋心を抱く新人メイクアシスタント。どうやら霊感のあるタイプらしく、ヤマメの事故物件での撮影に協力させられる。
演じられたのは、奈緒さん。『雨女』で映画初出演、NHK連続テレビ小説『半分、青い』ヒロインの親友役に抜擢。今後の公開予定作として『僕の好きな女の子』(20)、『みをつくし料理帖』(20)がある。
中井大佐/瀬戸康史
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
ヤマメの元相方。コンビ解散後はTV局で放送作家として働いている。ヤマメの”事故物件住みます芸人”企画を成功させるために協力する。
演じられたのは、瀬戸康史さん。近年の出演作品は『ミックス。』(17)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(19)、『ルパンの娘』(19)、『私の家政夫ナギサさん』(20)など。
予告
ネタバレ感想『事故物件~怖い間取り』
まず、本作を背筋も凍るような恐怖映画の感想を期待された方はごめんなさい。本作はホラー映画耐性のある方からすると正直そこまで恐怖度は高めではなかったというのをお伝えしておきます。
ただ、映画としては不謹慎すぎるブラックコメディ的な要素、亀梨くん演じる見事な売れない芸人の必死さ、ヒロイン役の奈緒さんの可愛さと結構楽しみどころの多い作品でした。
気楽に見に行くと案外楽しめる作品です。
そもそもこれが実話だっていうのが信じられない
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
すでに事故物件。事故物件と連呼してきましたが、そもそも”事故物件”とは「不動産取引や賃貸の物件において、何らかの原因で前入居者が死亡した物件」を指します。厳密な定義はないそうですが、殺人・自殺・孤独死など、次に住む方がどうしても気にしてしまうような内容が事故物件にあたるそうです。
こんな普通は絶対に避けたいような物件に自ら進んで住むことになるヤマメ。いくら売れるためとはいえ、普通のひとはまずやらないだろうという事をしてしまえるのが芸人の凄さというか無謀さというか。
しかも、この作品は映画ゆえの設定ではなく、実在の芸人”松原タニシ”さんが実際に”事故物件住みます芸人”として活動している話を基にしているというからあきれるばかり。
ほかにも、スマホの顔認証に引っかかるババア幽霊とか、「事後物件〇件目」といったテロップとか、恐いんだか、面白いんだかなシーンが満載で中々に飽きがこない。
本作のジャンルは、まさかのホラーコメディ
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
とまあ、こんな恐れをしらない実話に基づく本作ですが、実は本作のジャンルはホラーど真ん中というわけではありません。実はかなりの部分で笑えるホラーコメディともいうべき作品でした。
監督みずからインタビューで本作を”恐ポップ”と称するほどですから、肩の力を抜いて適度に怖がり、面白いところでは笑ってよい、そんな仕上がりです。
実際、かなり笑えるシーンが多くありました。ヤマメが事故物件を探しに訪れた不動産屋のシーンなんかピカイチでしたね。
不動産屋を訪ねて、「あのー事故物件探してるんですけど…」とヤマメが聞くと、「はい、ただいま担当をお連れします」と受付の人。
ヤマメの尋ねかたもひどいけど、いや、事故物件の担当さんいるのかよ
思わず突っ込みたくなる場面、その後も江口のりこさん演じる事故物件担当の横水のキャラがやばかった。「こちらは、殺人・自殺・変死と取り揃えております。」なんて”当店自慢の商品を紹介致します”ってな口調で紹介するもんだから、笑いこらえるのに必死でした。
さらには、ヤマノと梓の関係なんて、冴えない男とヒロインのラブコメそのもの。霊感のある梓は怖がりながらも恋するヤマメの頼みを断れず事故物件での収録に何度も付き合わされることに。
浴室で殺人があった事故物件では、ふたりで室内を探索していたとき梓が驚いた表紙にヤマメが梓を押し倒す格好に。マジでキスする五秒前なくらい顔が近づいちゃう。あわてて起き上がって気まずそうでも内心ドキドキ。
いやもうヤマノと梓を演じてるのが亀梨くんと奈緒さんですからね、この瞬間だけ切り取ったら”来季の月9のワンシーンです”っていってもばれないでしょうね。この浴槽でババア殺されてるんだけどね。
その他にも、スマホの顔認証に反応されちゃうババア幽霊とか、「事故物件〇件目」というテロップとかついつい突っ込みたくなるシーンが満載で中々に飽きさせないです。
ラストはまさかの線香による除霊バトル展開に
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
原作は数々の事故物件で起こる怪奇現象をオムニバスとして紹介していくものですが、映画として一本の物語にまとめるための工夫として、ヤマノがこれまで出くわした事故物件での一連の怪奇現象には黒幕がいたというテイを取っています。
事故物件4件目にして、ついに裏で糸を引いてい居たであろう黒マントの男が登場します。黒マントの登場で作品のテイストはさらにぶっ飛んだ方向に。
いままでギリギリ保っていた実録ホラー的なテイストをかなぐり捨てた黒マントとの除霊バトルに突入。ヤマノと梓のピンチに駆けつけた中井が束ねた線香に息を吹きかけ、火の粉が舞う!その火の粉が黒マントを覆ってまるで魔法かなんかのよう。
個人的には黒マントが某ヴォルデモート卿に見えて、某ハリー・ポッターですか!?なんて突っ込んでました。
この展開は、近年のホラー映画の潮流のひとつになっている気がしますね。中島哲也監督の『来る』や白石晃士監督の『貞子VS伽椰子』で登場するケレン味たっぷりの除霊合戦に通ずるものがありました。
ラストは、ヤマメと梓が事故物件でない普通の物件を探しにきたところで不動産屋の横水が呪われてしまい…というところで幕を閉じます。
この展開って、ヤマメは一応無事でしたが、これまで出会った事故物件での呪いはなんにも解決してませんよってことを示しているのでしょうね。
しかも、エンドロールで、「モデルとなった松原タニシ氏は現在も事故物件に住んでいる。現在は10件目である」というテロップで幕を引きます。なんとも後味が悪い、いいラストでした。
おわりに
今回は映画『事故物件 恐い間取り』をネタバレありで感想を紹介しました。
全編にわたって恐いんだけど、笑えるシーンが満載で肩の力を抜いて楽しめるタイプの作品でした。
中田監督は常々メロドラマ取りたいっておっしゃっていたので、亀梨くん主演で映画取られるとなった時点で”ホラー映画のメロドラマとってやろう”しめしめと思っていたんではないかなと妄想してしまいます。
それでは、次の作品でお会いしましょう。