どうも、こんにちは。
はりー(@hcinemadowntown)です。
今回はホラー映画『死霊館』シリーズについての紹介。
ホラー映画でMCUみたいにシネマティック・ユニバースをやってしまおうという企画。古典的なゴシックホラーを現代に蘇らせたシリーズの魅力を語ります。
それでは、いきましょう。
Contents
『死霊館』シリーズの概要
ソリッド・シチュエーション・スリラーの傑作『ソウ SAW』を生み出したジェームス・ワン監督が製作するホラー映画のシェアード・ワールド。
実在した超常現象研究家のウォーレン夫妻が遭遇した事件をモデルに、古典的な洋館ホラーを復興するシリーズ。
現在は、ウォーレン夫妻が登場する『死霊館』シリーズと、シリーズに関係する悪霊の背景を描く作品が展開されている。
『死霊館』シリーズの特長は大きく2つあります。
- 実話を基にした古典的なホラーの再現
- 家族についての物語
次から2点の特長について解説していきます。
実話を基にした古典的ホラー
https://says.com/my/entertainment/the-true-story-of-the-conjuring
本シリーズは実在した超常現象研究家ウォーレン夫妻が遭遇した怪奇事件を元ネタとして製作されています。
夫のエド・ウォーレンはバチカンに唯一認められれた悪魔研究家、妻のロレイン・ウォーレンは霊視能力を持っています。彼らが遭遇してきた事件がベースにあることで、実話ならではのリアリティを醸し出しています。
また、シリーズ全体にわたって名作ホラー映画『エクソシスト』や『ポルターガイスト』などの影響が強く見られます。
シリーズの基本的な流れはこんな感じ
- とある場所で怪奇現象が頻発する
- ウォーレン夫妻(や他の霊媒師)に相談する
- 怪奇現象はエスカレート、原因が悪魔だと判明する
- 最期は家族の絆で事件を解決する
本シリーズは、往年の名作ホラー的なテイスト・物語構成を、現代の技術・見せ方でアップデートしていくという取り組みになっています。
家族愛の物語
本シリーズは様々な形で”家族”の愛が描かれます。ウォーレン夫妻の夫婦愛や、事件に巻き込まれた家族の愛、ときには血の繋がらない疑似家族の愛など。
物語を決着させるカギになるのが、それらの愛なのです。
実は結構泣けるシリーズだったりします。
得たいの知れない現象を家族の愛によって打ち破るという展開は、定番の展開ながら毎回泣かされてしまいます。
【公開順】『死霊館』シリーズ作品あらすじ解説:ネタバレなし
『死霊館』(2013年公開)
(C) 2013 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
1971年アメリカ・ロードアイランド州、両親と5人の娘たちが古びた一軒家に引っ越してくる。しかし、毎朝母親の体にあざができ、一定の時間に止まる時計など不気味な怪現象が次々と発生し、娘たちに危害が及んだことから、一家は心霊学者のウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ)に解決してほしいと依頼する。夫妻が現地を調査すると恐るべき歴史が明らかになり、夫妻は館に巣食う邪悪な存在に立ち向かうが……。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0016312
『死霊館』シリーズの記念すべき一作目。原題は「Conjuring」、呪文を唱えるという意味。低予算映画ながら大ヒットし、全米の興行収入は3憶ドルを超えました。
本作では『エクソシスト』の影響が随所に見られます。また、怪奇現象の背景には悪魔がいた!と、恐怖現象の原因をきっちり説明するのも本シリーズの特長。
本作では、怪奇現象に襲われるペロン一家の家族愛が事件を解決するカギになります。
『アナベル 死霊館の人形』(2015年公開)
(C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
出産が近いミア(アナベル・ウォーリス)は、真っ白なウエディングドレスを着た美しいビンテージ人形を夫ジョン(ウォード・ホートン)からプレゼントされる。ある夜、二人はカルト集団の男女の襲撃を受け辛くも命は取り留めるが、人形に恐ろしい呪いがかけられてしまう。 やがて、待望の子供が生まれ二人は新生活をスタートさせるが、人形をめぐり次々と不可解な現象が起こり……。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0019610
前作『死霊館』の冒頭でウォーレン夫妻を尋ねた相談者が持っていた呪いの人形アナベルに関する物語。
本作で描かれるのは「カルト集団の恐怖」と「母親の恐怖」。
序盤、身重のミアをカルト集団が襲います。これは、ロマン・ポランスキー監督作『ローズマリーの赤ちゃん』が元ネタになっています。作中でマンソンファミリーのニュースが流れていることからも明らか。
また、その後人形による呪いが赤ちゃんを襲う展開は、子供になにか良からぬことが起きたらどうしようという、「幼い子を持つ母親の恐怖」を描いています。
『死霊館 エンフィールド事件』(2017年公開)
(C) 2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED
ロンドン北部に位置するエンフィールドで、4人の子供とシングルマザーの家族は、正体不明の音やひとりでに動く家具が襲ってくるなど説明のつかない数々の現象に悩まされていた。助けを求められた心霊研究家のウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ)は、一家を苦しめる恐怖の元凶を探るため彼らの家に向かう。幾多の事件を解決に導いた夫妻ですら、その家の邪悪な闇に危機感を抱き……。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0020940
シリーズ三作目『死霊館 エンフィールド事件』は、再びウォーレン夫妻が直接遭遇した事件を基にしています。今回の事件は、1977年にロンドン北部のエンフィールドで起こったポルターガイスト事件。
いわゆるポルターガイスト現象として最も有名な事件に夫妻が挑みます。
本作の特長的なのは、シングルマザーの被害者家族とウォーレン夫妻が疑似家族的な絆を結んでいく点です。エドが父親のいない家族の父親代わりに、ロレインは4人の子供たちの母親代わりを担っていく。
夫婦、新米マザー、シングルマザーと疑似家族と、シリーズごとに家族のバリエーションを変えていく点が見事ですよね。
『アナベル 死霊人形の誕生』(2018年公開)
(C) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
まだ幼かった娘を亡くした人形職人とその妻が暮らす屋敷に、児童養護施設を閉鎖されて行き場を失ったシスターと6人の少女が住むことになる。新たな住まいと生活に期待を募らせる彼女たちだったが、人形職人が作った人形アナベルによる怪現象に襲われる。それは、次第にエスカレートしていき……。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0022213
シリーズ四作目『アナベル 死霊人形の誕生』は、シリーズのヒロイン的存在「アナベル人形」の誕生秘話を描く物語。
本作の特長は、子供視点が多く取り入れられていること。人形職人の家に住むことになった孤児たち6人が、幽霊屋敷にきてしまったかのごとくに怖がらされます。
今回も、こどもを亡くした夫婦・孤児と、家族についての物語になっていますね。
『死霊館のシスター』(2019年公開)
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
1952年、ルーマニアの修道院で一人のシスターが不審な死を遂げる。教会は、この事件の調査のためにバーク神父(デミアン・ビチル)と見習いシスターのアイリーン(タイッサ・ファーミガ)を修道院に派遣する。二人は調査を進めていくうちに、修道院の恐るべき秘密にたどり着く。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0023228
シリーズ五作目『死霊館のシスター』は、『エンフィールド事件』に登場した悪魔ヴァラクのルーツに迫る前日譚。
シリーズのサブキャラクターをフィーチャーすることでユニバースを拡張していく取り組みは、シェアード・ワールドの基本ですね。
『ラ・ヨローナ~泣く女~』(2019年公開)
(C) 2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
1970年代のロサンゼルスで、ソーシャルワーカーのアンナ(リンダ・カーデリーニ)に、子供たちに危険が迫っているので助けてほしいとある女性が訴える。だがアンナは、その訴えに真剣に耳を貸さなかった。一人親のアンナには、エイプリル(マデリーン・マックグロウ)とクリス(ローマン・クリストウ)という二人の子供がいた。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0023810
シリーズ六作目『ラ・ヨローナ~泣く女~』は、メキシコに伝わる「ラ・ヨローナ」というおばけをモデルとした物語。
今回はソーシャル・ワーカーと訪問先の子供たちが中心となります。やはり本作も家族の物語ですね。
シリーズ二作目『アナベル 死霊館の人形』に登場したペレス神父が再登場するのもシリーズファンには嬉しいところ。
『アナベル 死霊博物館』(2019年公開)
(C) 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
超常現象研究家のウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ)は、呪われた品々を自宅の地下にある保管室で厳重に保管していた。しかし一晩留守にする間、娘のジュディ(マッケナ・グレイス)の面倒を見るため家にやってきた少女が保管室に入り、呪いの人形アナベルを外に出してしまう。そして封印を解かれたアナベルの力によって、展示物に死霊がとりつく。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0024065
シリーズ七作目は、数々の曰くつきの品を収めたウォーレン夫妻の保管室、通称「死霊博物館」を舞台とした物語。
古今東西様々なホラーグッズが保管されているので、恐怖表現のバリエーションもシリーズ屈指。
そして、本作で描かれる家族は、「変わった親をもつ子供」・「親を失った子供」。
心霊研究家という特殊な職業の両親をもつジュディは学校で馴染めず孤独を感じています。また、死霊祭り騒動の原因を作ってしまったダニエラは、交通事故でなくなった父への複雑な思いを抱えています。
本作でも怪奇現象を通して、家族に向き合う姿が描かれることになります。
『死霊館3』(2020年公開予定)
ジェームズ・ワン監督のインタビューから、「舞台は1980年代」・「前作『アナベル 死霊博物館』に登場した狼男が登場する」ことが明かされています。
『死霊館のシスター2』(公開日未定)
シリーズのプロデューサーであるピーターサフランへのインタビューで、『死霊館のシスター』の続編が製作中であることが明かされました。
『死霊館のシスター』の1952年から1977年の『エンフィールド事件』まで悪魔ヴァラクは存在していたことになるので、2つの事件の間の出来事が描かれるはずです。
『The Crooked Man』(公開日未定)
こちらは、『死霊館 エンフィールド事件』に登場した”へそまがり男”を、怪奇現象の中心に据えた作品になることが決まっています。
シリーズを時系列順に整理してみた
シリーズを作中の時系列順に並べてみました。タイトルの右側の数字は公開順番。
1952年 | 『死霊館のシスター』⑤ |
1957年 | 『アナベル 死霊人形の誕生』④ |
1970年 | 『アナベル 死霊館の人形』② |
1971年 | 『アナベル 死霊博物館』⑦、『死霊館』① |
1973年 | 『ラ・ヨローナ~泣く女~』⑥ |
1977年 | 『死霊館 エンフィールド事件』③ |
こうやってみると、公開順番と時系列は結構くちゃくちゃになってますね。
オススメの鑑賞順番①:公開順に観る
公開順に観るときのオススメポイントは、シリーズの最初の三作品『死霊館』、『アナベル 死霊館の人形』、『死霊館 エンフィールド事件』の出来がとくに良いで、シリーズに入りやすいということです。
とりあえず観始めたい・全部観るのはきついかもという方にオススメ。まずは、三作まで観て気に入ったら残りのシリーズも観てみましょう。
オススメの鑑賞順番②:物語の時系列順に観る
『死霊館』シリーズは、どれも前作を観ていなくても楽しめる作りになっていますが、時系列順に観ることで事件の背景などがわかりやすくなります。
シリーズ全部観ようという方には、こちらの見方がオススメ。
おわりに:洋館ホラー×家族愛の物語
今回はジェームズ・ワン監督が手掛ける『死霊館』シリーズ全体をざっと紹介しました。
シリーズの鑑賞するときは2つのポイントに注目すると、シリーズをもっと楽しめると思います。
- どんな悪魔・悪霊が登場するか
- どんな家族が描かれるのか
今後もユニバースの拡張が期待されますね。
死霊博物館で登場した侍をフィーチャーした作品が製作されて欲しい!
それでは、また次の作品でお会いしましょう。