Amazonプライム『ザ・ボーイズ』シーズン1感想:ヒーローが反吐が出るほどクズだったら…

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ザ・ボーイズ感想・レビュー

 

どうも、こんにちは。

はりー(@hcinemadowntown)です。

今回は、Amazonプライムビデオオリジナル作品『ザ・ボーイズ』シーズン1のレビューです。

Amazonプライムビデオオリジナル作品で、一番の視聴回数を記録した話題の海外ドラマ。アメコミ映画・ドラマが大流行して一大ムーブメントになっている中、全てのアメコミ作品に喧嘩を売るような作品が登場しました!

アメコミファンにこそ見てほしい、最高の切れ味の笑い。ヒーローをぶち殺すアンチヒーローが主人公のぶっ飛び作品。

9/4(金)からシーズン2の配信がスタートします。今間違いなく一番話題の海外ドラマである本作。まだ間に合う!シーズン2の前にシーズン1をおさらいしておきましょう。

それでは、いきましょう。

Contents

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あらすじ

街の電気屋ではたらく青年ヒューイは恋人のロビンと平凡な日々を過ごしていた。ある日、超速ヒーローのAトレインの暴走によって恋人のロビンはヒューイの目の前で両腕だけ残してバラバラになってしまう。

ヒューイはAトレインが所属するヴォート社に謝罪と賠償を申しだされたが、その不誠実な態度に失望。裁判を起こそうとするも資金がなく断念。無力感にさいなまれる中、FBI捜査官を名乗るブッチャーという男が現れる。

ブッチャーは世間に公表されていないロビンの事件の真相などを知っていた。ヒーローたちの腐敗・不正を暴き、復讐するのが”ザ・ボーイズ”というチームだと語り、ヒューイを勧誘する。

ザ・ボーイズの面々はあの手この手をつかってヒーローたちの実態を暴き、追い詰めていく…

キャスト

本シリーズの主な登場人物は、ヒーローたちに対抗する「ザ・ボーイズ」の面々とヴォート社に雇われてヒーロー活動をやっている「セブン」の面々。

ザ・ボーイズ

ヒーローたちの腐敗の実態を暴き、彼らに復讐することを誓った自警団

ウィリアム・“ビリー”・ブッチャー:カール・アーバン

元FBI捜査官の切れ者。「ザ・ボーイズ」の中心的人物。とある事情からスーパーヒーローを激しく憎んでおり、執拗に追い詰める。目的のためなら手段は選ばない。

ヒューイ・キャンベル:ジャック・クエイド

街角の電気屋で働く心優しい青年だったが、恋人のロビンがAトレインの暴走事故でなくなったことでスーパーヒーローを憎むことに。ブッチャーに誘われて「ザ・ボーイズ」の活動に参加することになる。

フレンチー:トマー・カポン

フランス出身の不良。常にドラッグを使用しており、終始言動が定かではない。銃の密輸で生計を立てており、「ザ・ボーイズ」の武器調達係。

マーヴィン / マザーズミルク:ラズ・アロンソ

通称MM。非行少年たちの更生施設で働いている。ブッチャーたちとは昔馴染み。フレンチーとは犬猿の仲らしく、何かと突っかかる。妻と娘がおり、平和に暮らしていたがブッチャーに誘われしぶしぶ「ザ・ボーイズ」の活動に付き合うことに。

キミコ:福原かれん

日本人の少女。ヒーロー向けの違法薬物”コンパウンドV”を投与されており、身体能力や感覚が発達している。薬の密売人のところで監禁されていたところを、「ザ・ボーイズ」の面々に助け出される。以後一緒に行動することに。

セブン

巨大企業ヴォート社に雇われたヒーローたちで結成したスーパーヒーローチーム。

ホームランダー:アントニー・スター

スーパーヒーローチーム”セブン”のリーダー。ブロンドヘアーの白人。星条旗を模したコスチュームを身にまとう。能力は「目から赤色のレーザービームを出す」、「空を飛ぶ」、「透視能力」、「怪力」。

表向きはアメリカのために闘う人気者だが、実際は冷酷で自己中心的。自身への反逆を許さず、仲間からも恐れられている。

ディープ:チェイス・クロフォード

7つの海の支配者。水中の生物とコミュニケーションがとれる。鳩尾にあるエラで水中でも呼吸が出来る。

新人のスターライトにセクハラをかまして、のちのち社会的地位を失うことに。

Aトレイン:ジェシー・T・アッシャー

超高速移動能力をもつアフリカ系ヒーロー。ヒーローとしての能力の限界からコンパウンドVという薬物に依存していく。

ヒューイの恋人ロビンを誤って殺してしまう。

トランスルーセント:アレックス・ハッセル

透明人間のヒーロー。全身が光を乱反射するメタ物質で覆われており、周囲の景色と同化し透明に見せかけている。メタ物質は非常に硬質で防御力も高く、剣も銃も通用しない。

透明能力を悪用して、覗きを行うなどゲスい男。

ブラック・ノワール:ネイサン・ミッチェル

全身真っ黒なコスチュームに身を包んだ寡黙なヒーロー。ナイフや暗器を用いて闘う。茶道やピアノをたしなんでいる。

クイーン・メイヴ:ドミニク・マケリゴット

アマゾネ風のコスチュームに身を包んだヒーロー。身体能力が高く、ドラックと正面衝突しても傷つかないほど。

若いころは正義感に溢れていたが、いまでは現実を受け入れて妥協の連続でヒーロー活動を行っている。

アニー・ジャニュアリー/スターライト:エリン・モリアーティ

”セブン”のオーディションに受かり田舎から出てきたスーパーヒーローの少女。車を持ち上げるほどの怪力、全身に電気をまとい閃光を放つ能力を持つ。電気を纏うときは両目が発光する。

”セブン”に憧れヒーローを志したが、加入そうそうにセクハラをうけるなど、ヒーローの腐敗の実態を目の当たりにしてヴォート社に反抗的な態度を取るようになる。

ヒューイとはスターライトではなく、ひとりに少女アニーとして出会った。悩みを真摯に聞いてくれるヒューイに次第に惹かれていく。

Amazonプライムビデオ『ザ・ボーイズ』ネタバレあり感想

Amazonプライムビデオのオリジナル作品として最高の視聴回数を記録した本作。

もう、最っ高に狂っていて面白過ぎました!!

昨今、MCU・DCと飛ぶ鳥を落とす勢いのアメコミ界をこれでもかというほど皮肉り、その黒い笑いはアメコミにとどまらず、アメリカの資本主義・宗教・MeTooなどの社会運動・ポリコレと全てに喧嘩を売っていきます。もうアメリカそのもののパロディドラマといっても過言ではありません。

今の社会そのものを盛大に皮肉る最強のブラックコメディです。

パロディがすぎるぞ、ビジネスマンなスーパーヒーローチーム『セブン』

この作品の世界では、スーパーヒーローが企業に雇われ、ビジネスとしてのヒーロー活動を行っています。ヒーローをマネジメントするヴォート社は、テレビCM・広告・SNSなどを駆使してヒーローたちのイメージアップに余念がありません。

バディで出動するとSNSのハッシュタグ#の投稿数がアップするわよ”なんてマネージャーがアドバイスするなんて思わず笑ってしまいます。そういれば、どこかのヒーロー映画群も最近バディ物のドラマシリーズを計画していましたよね…

ヴォート社の人気チーム”セブン”の面々をはどこかでみたことがあるようなヒーローばかり。星条旗のコスチュームにマントをはためかせて飛ぶホームランダーは”スーパーマン+キャプテンアメリカ”、アマゾネスヒーローのクイーンメイブはワンダーウーマン、イルカと話せるディープはアクアマンそのもの。

そのほかのヒーローも僕らが熱狂するアメコミヒーローとそっくりなヒーローばかり。

ただし、見かけや能力はどこかのスーパーヒーローにそっくりながら、中身は別物。

ある航空機救出のシーン。エンジントラブルで墜落しそうになる機体に乗り込んだホームランダーとクイーンメイブ。はじめこそ乗客を逃がそうとしますが、思いのほか墜落スピードが早く救出は困難。全員すくうのが難しいなとなった時点であっさり、救出を放棄するホームランダー。おいおい、面倒がるなよと。アイアンマン3の乗客救出シーンやスパイダーマンが身を挺して暴走列車を止めたこととは大違いですね。

セクハラ・ドラッグ・宗教…あらゆるものを過激に皮肉る

見かけからして既存のアメコミを強烈にパロディしている本作ですが、そのパロディ・皮肉はアメコミにとどまりません。

そのうちのいくつかを紹介していきましょう。

セクハラ

新人スーパーヒーローのスターライトは、セブン加入そうそうにセクハラの被害に。ベテランヒーローのディープにセクハラ強要を受けます。”俺が手を回せばお前なんてすぐクビに出来るんだぞ”と。田舎の母親の期待からスーパーヒーローになることを捨てられず、彼女はなくなくセクハラに屈します。

これは、明確にアメリカのエンタメ界の一大ムーブメントとなっているハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ告発に端を発したMe Too運動への皮肉ですよね。こどもたちが憧れるスーパーヒーローがセクハラ強要のゲス野郎だったなんて笑うに笑えません。

ドラッグ

お話の中盤から”コンパウンドV”というスーパーヒーロー向けの違法薬物がお話に絡んできます。

スピードヒーローのAトレインは、ライバルヒーローにスピード勝負で勝てず、人気が落ちてきていることを相当に気にしていました。チームでも責められ、立場は追い込まれていきます。

そこで、違法薬物に手を染めてしまうことに。

そもそも物語の発端となったヒューイの恋人ロビンをひき殺した事故もコンパウンドVを使用した暴走が原因でした。

アメリカに深く根差した薬物の問題、それに絡んだ犯罪をつよく皮肉っています。

宗教

とくに皮肉がエグイなと思ったのが中盤の宗教の集会のシーン。

アメリカという国はおそらく日本人が思っている以上に宗教が生活に根差した国です。そんなアメリカではメガチャーチの影響力は集金・集票・広告と絶大な力があります。

5話ではそんなメガチャーチとヴォート社ががっつりと手を組んでいることが描かれます。”私の能力は神から授かった”と演説するヒーロー。メガチャーチはヒーローを広告塔として利用し、ヒーローはメガチャーチの集金能力とネットワークを利用してさらなるイメージアップを図ろうとしている。

本来、人々の心のよりどころである宗教が、強大ビジネスとして機能してしまっているというアメリカ社会を大いに皮肉っています。

さらには、広告塔になっているヒーローがじつは同性愛者だと視聴者に明かされるにいたっては笑いが黒すぎです。

Me Too

メガチャーチの場面ではもうひとつ大きな展開がありました。スターライトことアニーは、ディープからのセクハラ強要とそれを隠蔽するヴォート社への反抗として、あろうことかメガチャーチの集会でセクハラ被害とヴォート社を告発するスピーチを行なったのです。

これで、ディープもヴォート社も一巻の終わりと思ったら、ヴォート社はその上をいきました。発端となったディープを速攻で干し、スターライトをむしろ勇気ある告発をした新しい時代のヒロインとして持ち上げたのです。しぶといぞ大企業。

Me Too運動で勇気ある告発をした女性たちが、一大ムーブメントとなったことで結果として知名度を向上させてしまい、好奇の目にさらされてしまっているという現実の流れを強烈にパロディとして描写しています。

ラスト…衝撃の幕引き

終盤、おおきな二つの謎が明らかになっていきます。

神か英雄のごとくあがめられてきたスーパーヒーローたちが、じつは奇跡によって能力をさずかったのではなく、違法薬物の投与によって人為的に作り出されたものだということが明らかになります。

皮肉にも神のごときヒーローは金によって量産されていたというのが、資本主義の頂点たるアメリカらしいとも言えます。

さらに、もうひとつの謎は「ブッチャーはなぜ執拗にヒーローへ復讐をするのか」。

それは、かつてヴォート社に勤めていたブッチャーの妻がホームランダーにレイプされていたことがブッチャーの怒りの理由でした。

あるときブッチャーの前から妻が失踪し、原因を探っていくなかでホームランダーの卑劣な行為にたどり着き、復讐を誓うことになったのでした。

ラストは、失踪してすでに亡くなっていると思われていたブッチャーの妻が生きていることが判明し、その上ホームランダーとの間に子どもが出来てしまっていたということが明らかになってシーズン1は幕を閉じます。

おわりに

今回は、Amazonプライムビデオオリジナル作品『ザ・ボーイズ』シーズン1の感想・考察を紹介しました。

アメリカそのもののパロディドラマ・アンチヒーロー映画を、アメリカを代表するAmazonという企業が相当に力を入れて製作しているというのが、アメリカのエンタメの底力を感じさせます。

それでは、次の作品でおお会いしましょう。

 

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