どうも、こんにちは。ハリー(@hcinemadowntown)です。
今回は、映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の感想・考察の紹介です。
前作『スーサイド・スクワッド』で世界的な人気を獲得したマーゴット・ロビー版ハーレイ・クイン。
最愛の人ジョーカーと別れ、女性としてもヴィランとしても一皮むけた文字通り”覚醒”した彼女が満載。
どんな活躍を見せてくれるのか!
本記事は本編のネタバレを含むので、ネタバレ苦手な方はご注意ください。
それではいきましょう。
Contents
あらすじ
ジョーカーと別れたハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)は束縛から解放され、街にはびこる悪党が敵意を持つほど暴れまくっていた。謎のダイヤを盗んだ少女をめぐって、裏世界を支配するサイコパス、ブラックマスク(ユアン・マクレガー)と対決することになった彼女は、くせ者ばかりを集めてチームを作り上げる。
https://www.cinematoday.jp/movie/T0024604
スタッフ・キャスト
監督のキャシー・ヤンは本作が長編映画の監督2作目というフレッシュな監督。
初監督作品『Dead Pigs』はサンダンス国際映画祭で審査員特別賞しています。
2作目でアメコミ映画の話題作に起用されるとは、まさに大抜擢!
脚本は『バンブルビー』で記憶をなくしたバンブルビーと思春期の悩める少女の出会いと別れをさわやかに描いたクリスティーナ・ホドソンが起用されています。
そして、製作に名を連ねるのは主演ハーレイ・クインを演じるマーゴット・ロビー。
彼女は前作『スーサイド・スクワッド』の製作後、すぐにハーレイ・クインのスピンオフを作りたいと配給元のワーナー・ブラザーズに打診したほどの熱の入れよう。
監督のキャシー・ヤン、脚本のクリスティーナ・ホドソンに彼女自らオファーをしました。
その他の製作陣も女性を多数起用したマーゴット・ロビーこだわりの製作チームによる作品ということだね。
ハーレイ・クインは『スーサイド・スクワッド』に引き続きマーゴット・ロビーが演じます。
自ら企画を持ち込んだほどハーレイを愛している彼女。前作以上に自由で気まぐれで愛らしくハーレイを演じています。
謎めいた殺し屋ハントレスを演じるのは、ホラー映画に多数出演し、スクリーム・クイーンの異名を持つ メアリー・エリザベス・ウィンステッド。
凄腕の殺し屋、でも人付き合いは苦手で人見知りというギャップをもつ役をクールにコミカルに演じています。
その他にも個性的な役者陣がハーレイとともに暴れまわっています。
そして、本作の敵役ブラック・マスクを演じるのはユアン・マクレガー。
以外にも本格的な悪役を演じるのは初めてというユアン。本作で、プライドが高く、残忍で時として怒りをコントロール出来なくなる危ういヴィランを流石の演技力で見事に作り上げています。
5/22デジタル配信が開始されました!
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(字幕版)
感想・考察(ネタバレあり)
前作『スーサイド・スクワット』の復習は必要か?
本作『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』は前作『スーサイド・スクワッド』のスピンオフよりの続編にあたります。
前作は興行的・批評的にも今一つで、マーゴット・ロビーのハーレイ・クインをこの世に生み出したという点が唯一の褒めどころというのが個人的な感想。
あらすじでも言及しているジョーカーとの馴れ初めについては、映画の冒頭で回想で語られるので、本作から鑑賞してもお話についていけないということはありません。
前作を観ておくとニヤリとできるシーンと言えば、「キャプテン・ブーメラン」の手配書が一瞬映るところと、ハーレイのセリフで「世界救った~うんぬんかんぬん」というところくらい。
個人的には本作のみを鑑賞しても全く問題ないと思います。
信頼できない語り部によるジェットコースター的ストーリー展開
© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics
本編の感想に入りましょう。
本作はハーレイ・クインが我々観客に語り掛ける回想をベースに物語が進行していきます。
彼女が思いつくままに物語が進んでいくので、時系列はバラバラ。
ストーリーの重要な部分について語っていると思ったら、思い出したように回想シーンへ飛んでしまう。
それに、語る内容自体もいまいち信用ならないときがあります。
失恋の顛末について話しているときなんか、「お互いに同意した、大人の別れよ~」なんて語りながら、実際にはジョーカーにあっさり捨てられ、泣きわめいて縋り付いていたり。
さながら、映画自体が気まぐれで嘘つき、何を考えているかわからない彼女に翻弄されているような作りになっています。
はじめは彼女の無軌道でテンポの速い語りについていくのがやっとなのに、気づいたら振り回されるのが心地よいとまで感じてしまうのが、ハーレイの危ない魅力なのだと思います。
見せ場だらけのアクションシーン
© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics
数多く登場するアクションシーンは本作の一番の見どころといっても過言ではありません。
というのも本作のアクションを担当したのはスタイリッシュなガンフーで世界を席巻した『ジョン・ウィック』シリーズを手掛けたスタントチーム87イレブン・アクション・デザイン。
さらには、一旦撮影が終了したあと、さらにアクションシーンに力を入れるために、クレジットこそされていませんが、ジョン・ウィックの監督チャド・スタエルスキを第二監督に迎えて、追加撮影を行ったほど。
ハーレイが元々器械体操の選手だったという原作設定を活かして、側転からの蹴りやお気に入りのバットを新体操のバトンのごとく操るアクションは目が離せなくなります。
この激しいアクションシーンをマーゴット・ロビーはスタントなしで演じているのが凄いよね
アクションシーンの状況設定も非常に魅せ方にこだわっていました。
© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics
まず、ハーレイがゴッサム市警に留置されたカサンドラを強奪しに行くシーケンス。
持ち込んだM79 グレネードランチャーにはこれでもかというほど派手な装飾を施し、装填した銃弾も多彩。
暴動鎮圧用のビーンバック弾(鉛入りお手玉)に七色の煙幕弾、もはや見た目の派手さだけで選んだであろう紙吹雪弾と、過剰なくらいにカラフルでド派手。
警察署に殴り込みに行く時ですら、自身の好みを重視して、すべてをエンターテイメントにしてしまうハーレイだけに生み出せるシーンでしたね。
© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics
その後も、スプリンクラーの故障で一面水浸しの中の素手での格闘シーン。
鮮やかな脚技で真正面から囚人たちをボコボコなぎ倒していくのは爽快でした。彼女が脚を挙げるたびに、水しぶきが舞うのも美しい。
そして、圧巻だったのは、最終決戦。舞台は遊園地の子供向けの遊技場ブービートラップ。
ばっちりお着替えを済ませたハーレイたち、不気味な道化の仮面を被ったブラック・マスクの手下たち、とビジュアルのインパクトは完璧。
さらには遊園地のアトラクションを最大限に活かして、所せましと暴れまわるハーレイ達の戦いは一度見ただけでは追いきれないほど。
混戦の最中に、長い髪だと闘いにくいからとヘアゴムを渡してあげるくだりは、女性同士ならではのやり取りで非常に本作の個性が光る場面でした。
さらにさらに、とらわれたカサンドラを追いかけるシーンでは、ローラースケートにバイクと車が入り乱れるチェイスシーンに。
カサンドラを乗せる車にローラースケートで猛然と迫るハーレイ。それを援護するようにバイクで追走するハントレス。バイクから延ばしたロープにつかまって加速し、車に飛び掛かる!
こんなシーンはハーレイにしか作り出せません。
ビジュアルの派手さや状況設定の凄さに驚く一方、アクション自体はトンデモではなく、ギリギリ現実味を失わないバランスを保っているのは流石だよね。
臆さず「女性 VS 男性」の構図を描く
© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics
話題は変わって、本作でマーゴット・ロビーが描きたかったであろうテーマについて触れます。
本作はアミコミ映画であり、いわゆるポップコーン・ムービー的アクション映画でありながら、描こうとするテーマは普遍的です。
それは「女性 VS 男性」という構図です。
ハーレイおよびBIRDS OF PREYの面々は皆なんらかの形で男性に虐げられてきました。
ハーレイはかつてはジョーカーの恋人としてゴッサムの裏社会でクイーンとして君臨していましたが、実際はジョーカーの都合のよい女でしかありませんでした。
今作ではあっさりと捨てられてしまします。
ハントレスは幼いころにブラック・マスクの私欲のために一家を皆殺しにされ、隠遁生活を余儀なくされました。
ブラック・キャナリーはかごの中の小鳥として、ブラック・マスクの経営するナイト・クラブで働かされています。
レニー・モントーヤは、刑事としてどれだけ汗をかいて事件を解決しても同僚の男性刑事に手柄を横取りされ万年ヒラ刑事のママ。まさにガラスの天井です。
一方、作中で男性性を一手に引き受けていたのはブラック・マスクです。
権力欲が強く、神経質でサディスト。女性を自身の飾りのようにしか見ていない典型的なミソジニスト。
それでもユアンが演じると魅力的なヴィランになるんだけど
作中でブラック・マスクはブラック・キャナリーをたびたび「小鳥ちゃん」と呼んでいました。
自分の手の中で鳴くことしか出来ない、かごの中の小鳥と認識していたからでしょう。
しかし、彼女はハーレイ達とともに武器をとり、愚かな野郎どもに華麗に反撃してみせます。
そもそも「BIRDS OF PREY」の意味は「猛禽類」です。彼女たちは、鳥は鳥でも手に負えない獰猛な「猛禽類」でした。
男性に囚われた生き方を女性たちが団結し、おのがコブシで痛快にブチ倒す姿が、清々しさすらありました。
見事ブラック・マスクを打倒した後、ハントレス、警察を辞めたモントーヤ、ブラック・キャナリーの3人は自警団「BIRDS OF PREY」を結成します。
3人が原作コミックに登場した衣装を身にまとっているというサービスも。
男性が支配する社会にカウンターを食らわせるには、お利口さんの小鳥たちのままでは出来ませんでした。社会のルールなど気にも留めない「ヴィラン」として、社会のルールにとらわれず己の信念で動くヴィジランテとして生きていく彼女たちがからなし得たことでした。
そして、「BIRDS OF PREY」に加わらなかったハーレイとカサンドラは2人して「バッドアス・マザーファッカー」なる会社を作って怪しげなビジネスを始めます。
最後に念願のエッグサンドを満足気に頬張るハーレイ。これからさらに大暴れしていくのは間違いないでしょう。
おわりに:さらなる次回作への期待も
「ヤバい男と別れた女は、もっとヤバいやつだった!」
本作の見どころは圧倒的なド派手ビジュアルと、対照的に硬派で肉弾戦主体のアクションでしょう。
気まぐれで次の行動が全く読めないハーレイに翻弄されながら、しっかりとしたアクションで満足させてくれる。
近年のアメコミ映画でも屈指の出来のアクション映画だったと思います。
女性の解放というテーマも織り交ぜつつ、余り説教くさくせず、しっかりエンターテイメントとして仕上げているのもとっても素晴らしい。
さらには、次回作への期待を持たせるラストシーンまであって、おなか一杯に楽しませてくれる作品です。
ぜひとも劇場の大きなスクリーンで体感して欲しい作品です。
※5/22デジタル配信開始されました!
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(字幕版)
それでは、また次の作品でお会いしましょう。
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