今回は、韓国映画『悪人伝』の感想になります。
今飛ぶ鳥を落とす勢いの韓国映画スター、”マブリー”ことマ・ドンソクの最新作!
マブリーが今回扮するのは、ヤクザの組長。組長×刑事×殺人鬼という刺激的な三つ巴でバイオレンスアクション作。
本国・韓国では既に大ヒットを記録して観客動員数も300万人を突破する勢い。すでにシルベスター・スタローンによるハリウッドリメイクの話も出ているくらい。
ヤバい作品であることは間違いない!
それでは、いきましょう。
Contents
あらすじ
凶暴なヤクザの組長チャン・ドンスが、ある夜何者かにめった刺しにされる。奇跡的に⼀命をとりとめたドンスは対立する組織の仕業を疑い、手下を使い犯人探しに動き出す。一方、捜査にあたるのは、暴力的な手段も辞さない荒くれ者のチョン刑事。彼は事件がまだ世間の誰も気づいていない連続無差別殺人鬼によるものであると確信し、手がかりを求めてドンスにつきまとう。互いに敵意を剥き出しにしながら自らの手で犯人を捕らえようとするドンスとチョン刑事。しかし狡猾な殺人鬼を出し抜くために互いの情報が必要であると悟った2人は、いつしか共闘し犯⼈を追い詰めてゆくー。
『悪人伝』公式サイトより
今回のマ・ドンソクはヤクザの組長!
組長×刑事×連続殺人鬼の三つ巴バトルなんて面白くないわけない!
スタッフ・キャスト
チャン・ドンス(組長)役:マ・ドンソク
(C)2019 KIWI MEDIA GROUP & B.A. ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED.
ヤクザの組長チャン・ドンス。
ある夜、背後から突然めった刺しにされ瀕死の重傷を負う。対立する組織の手によるものだと疑い犯人を捜す中で、刑事のチョン・ソテクといがみ合いながらも共闘していくことになる。
演じたのは、韓国映画界で今もっとも熱い男、マ・ドンソク!愛称はマブリー(マドンソク+ラブリー)。
全てを跳ね返すような胸筋!大砲のようなぶっとい二の腕!熊のような背筋!でも、笑うととってもチャーミング。
キャリアのスタートは、アメリカ。18歳の頃に米国に移住してアメリカ国籍も取得。フィットネス・トレーナーなどをしていたが、2005年の韓国映画「天軍」で北朝鮮の兵士役を演じて、映画デビュー。
その後も、いくつかの作品に出演して2012年「隣人」では韓国で権威ある百想芸術大賞で最優秀助演男優賞を獲得して、人気者に。
さらに国際的なスターのきっかけは『新感染 ファイナル・エクスプレス』への出演。この作品で演じた身重の妻を守る夫の役がとっても魅力的。
ゾンビを両腕でバッタバッタとなぎ倒しながら、奥さんを救出にいく頼もしさと、奥さんを助けたときにニコッと微笑む姿のキュートさで、サブキャラクターでありながら大人気に。一躍スター街道を駆けあがりました。
これ以降、マブリーの魅力を引き出すべく、マブリー主演の映画が次々と製作されていくんですよね
そして、ついには、2021年公開予定のMCU作品『エターナルズ』の主要キャラクターのひとりギルガメッシュを演じることも決定している。
いまから注目してもまだ遅くない!これからも更なる活躍が期待される俳優です。
殺人鬼役:キム・ソンギュ
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正体不明の謎の無差別殺人鬼。
夜な夜な車で走っているところを後ろから追突して、相手が戸惑っているところを容赦なくめった刺しにするという残虐な殺人鬼。
だが、今回ばかりは手を出した相手が悪かった!
演じたのは、若手俳優のキム・ソンギュ。
2017年マ・ドンソク主演『犯罪都市』で中国系マフィア黒竜組のチェンの手下ヨンテ役で広く知られるように。
その後もNetflixオリジナル作品『キングダム』でもミステリアスな役どころのヨンシン役を演じてさらに活躍の幅を広げている。
予告映像
『悪人伝』の公開日は7/17(金)です。
『悪人伝』ネタバレあり感想
ここからはネタバレありの感想パートです。
結論からいうと、本作は倫理観がぶっ飛んでてかなり面白かったです。
生々しいバイオレンスの連続、韓国映画お得意のフィルムノワール全開でした。
マ・ドンソクの組長が恐いこと恐いこと
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本作は登場人物がみんな極悪なやつばかり。
まずは、マ・ドンソク演じた組長のチャン・ドンス。冒頭の登場シーンからワルっぷりがぶっ飛んでます。
とあるジムで、トレーニング中の組長。サンドバッグに向かって拳を打ち込んでいる。ドスッ、ドスッっと丸太のような腕で放つパンチの重低音が響く。腕には禍々しい刺青が彫られていて、一発で「あ、こいつは関わっちゃいけないタイプ」と思わせてきます。しかも、そのサンドバッグの中には人間が入っていたことが判明。もうドン引きです。
その他にも張り手で人を吹っ飛ばすわ、素手で相手の前歯をへし折るわ、マ・ドンソクの組長は素手が凶器そのもの。
とくに組長のヤバさがわかるのが、殺人鬼に襲われるシーン。組長が襲われるシーンの前に別の被害者があっけなく殺人鬼に殺されるシーンのあとなので、相当殺人鬼やばいよ状態なのですが、マ・ドンソクにかかると全く別のシーンになってしまいます。
雨で視界の悪い中、油断したところをいきなりどてっぱらをぐさりと刺されてしまいます。普通の人間ならそこで、あっけなくお陀仏なんですが、そこはマ・ドンソク即座に反撃。張り手で殺人鬼をはっ倒してしまいます。
どっちが襲い掛かったのかわからなくなるくらいの猛反撃で、最後には奪った刃物で殺人鬼に一撃いれるほど。
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そして、そんな組長と共闘していくことになる刑事チョンもなかなかに頭のネジが飛んだやつでした。
朝の出勤のついでにひとりで、裏カジノに突入して、検挙した犯人と一緒にご出勤かましたり、初対面の組長ドンスの顔面に一撃お見舞いしたりと、かなりぶっ飛んでます。
マ・ドンソクほど見た目でヤバい風貌ではないですが、完全に恐怖心がどこかにいってしまっているタイプ。そうですよね、犯人検挙のためとはいえ、ヤクザ脅して協力させようってやつですから。
そして、そんなヤバさMAXのふたりと対峙することになる連続殺人鬼も、負けず劣らずの存在感でした。
「無差別〇〇」といわれる事件の犯人って、無差別と言いつつ自分に都合のいい相手を選んでる場合ばかりに思っていたんですが、本作の殺人鬼はその点はホンモノ。
なんたって、ヤクザの組長でもためらいなくターゲットにしてしまうんですから。
組長ドンスや刑事のテソクとちがって殺人鬼はビジュアル的には線が細めのやさイケメンといった風貌。でも、目の奥に光が宿っていない感じがなんとも不気味で、キャラクターが際立っていました。
ヤクザ・刑事・殺人鬼の立場の差が見えてくる
本作は、ヤクザ・刑事・殺人鬼と立場の異なる人物による三つ巴バトル。それぞれの立場の違いが浮き彫りになるのが面白かったところ。
刑事のテソクは、普段どんなに荒っぽくて喧嘩っぱやくても、殺人鬼を生きたまま捕まえて裁判にかけなければと思っている。
一方でヤクザの組長ドンスが、殺人鬼を追いかけるのは己のメンツとけじめを付けるため。もちろん、捕まえたら、ボコボコにしてぶち殺すつもり。
対する連続殺人鬼は、まったくの無法。法律はもちろん、仲間内の掟なんかもない一匹狼。
- 刑事・・・法の下に裁く
- 組長・・・法の外側、自分たちの掟に従う
- 殺人鬼・・・法も掟もない
三者の立場の違いがいい具合にラストの展開に効いてきます。
ラスト…殺人鬼を捕らえたあとの展開が面白い!
終盤、ドンスとテソクはようやく殺人鬼に迫ります。車で逃走する殺人鬼を追うカーチェイスは中々の見どころ。
ドローンを使って撮影されていて、追いかける車に張り付くようなカメラワークが疾走感と緊迫感を高めていました。
ついには、殺人鬼を追い詰めたドンス。扉の向こうに殺人鬼がいる…。殺人鬼はドンスが扉を開けようとしたところを返り討ちにしようと刃物を構えるが、ドンスは、扉ごと殺人鬼をブチ飛ばしてしまいました。こんなに役に立たない扉は初めて見ました…
そして、殺人鬼をとらえたドンスが私刑を下そうとしているところに、テソクが車で突っ込んできてドンスを吹っ飛ばして、殺人鬼検挙となりました。
普通なら殺人鬼を捕まえたところで終わりそうなところ、本作はもう一展開ありました。
殺人鬼は裁判にかけられることになるのですが、殺人の証拠はどれも不十分で、罪に問うのが難しい雲行き。
こいつが犯人と分かっているテソクはなんとしても有罪にするために、最後の手段にでます。それは、証拠の偽装と裏取引でした。
裏取引をして裏社会の人間であるドンスを裁判の証人として出廷させ、捏造した証拠に基づいた証言をさせたのです。
それによって殺人鬼は有罪となり死刑を待つ身となりました。
ラスト、結局自分も刑務所送りになったドンスは、収監された刑務所で殺人鬼の姿を見つけます。
そう、テソクがした裏取引は「ドンスを殺人鬼と同じ刑務所にいれる」ことでした。
最後のカット、誰もいないシャワー室で殺人鬼と向かい合うドンス。ふたりが不敵に笑い対峙するところでエンド。ゾクッとするラストでした。
結局、犯人を有罪にするという大義のために、偽装に裏取引までしてしまったテソクも悪人と言わざるを得ませんよね。
ほんとの意味での善人が登場しない、悪人だらけのクライム劇でした。
おわりに
今回はマ・ドンソク主演の韓国映画『悪人伝』の感想でした。
重厚なバイオレンス描写に、目まぐるしい展開できっちりと楽しませてもらえる作品でした。やっぱり韓国映画のクライムアクションは間違いないですね。
ひたすらにワルなマブリーを堪能できる一作として、オススメできる作品でした。
それでは、また次の作品でお会いしましょう。