どうも、こんにちは。
はりー(@hcinemadowntown)です。
今回はNetflixオリジナルドラマ『ハリウッド』の感想になります。
映画ブロガーをやっていて、映画業界に常にお世話になっている身としては、映画製作の現場ってかなり興味があるんですよね。
ちょうど5月からシーズン1の配信が開始されたNetflixドラマ『ハリウッド』は、まさに映画製作の内幕をありあり描いているということで、気になっていました。
第二次大戦後、黄金時代と呼ばれ、ハリウッドが最も華やかなりし時代を描くドラマ。若者たちが夢を掴むため、光と闇が渦巻く映画の街にやって来る。
それでは、いきましょう。
本記事は本編のネタバレを含むので、ネタバレ苦手な方はご注意ください。
Contents
あらすじ
第二次世界大戦後、アメリカ・ハリウッド。この街には夢を追いかける若者や、作品づくりに情熱を注ぐ映画製作者が集まる。
退役軍人のジャックは、ムービースターになるという夢のため、何としても映画に出演しようと奮闘する。
優秀な黒人女優カミールは、ステレオタイプな役ばかり演じさせられ、不満貯めていた。
若手監督のレイモンドは自分に流れるアジア系の血を公表すべきか葛藤していた。
1940年代のハリウッドを舞台に、新作映画「メグ」に関わる、俳優・監督・製作会社の面々が複雑に関係しながらストーリーが展開していきます。
退役軍人のジャックが主人公的なポジションにはいるけど、他の主要メンバーもかなりしっかりとエピソードが用意されてます。
スタッフ・キャスト
本作を手掛けたのは大人気ドラマシリーズ『glee/グリー』を作り上げたライアン・マーフィーとイアン・ブレナンのコンビ。本作でも音楽の使い方がオシャレで、ポップな作品に仕上げてくれていました。
退役軍人で映画俳優を夢見る青年ジャック・コステロを演じたのは、デヴィッド・コレンスウェット。真っ直ぐで度胸のある役です。
『メグ』の監督レイモンド・エインズリーを演じたのは、ダレン・スミス。レイモンドと同じく、自身もフィリピン系の血が流れています。『glee/グリー』では同性愛者の生徒アンダーソンを演じていましたね。
黒人女優のカミール・ワシントンを演じたのは、ローラ・ハリアー。『スパイダーマン :ホームカミング』ヒロインのリズ役でメジャー映画デビューしました。
黒人の脚本家アーチーを演じたのは、ジェレミー・ポープ。トニー賞にノミネートされたこともある舞台俳優。
実在した二枚目俳優ロック・ハドソンを演じたのは、ジェイク・ピッキング。同じくNetflixオリジナル映画『ホースガール』にも出演。『トップガン マーベリック』にも出演予定。
ジャックやアーチーが働くことになるガソリンスタンドの店長アーニーを演じたのは、ディラン・マクダーモット。『ザ・シークレット・サービス』でクリントイーストウッドの相棒フランクを演じてブレイクしました。
凄腕だけど、枕営業に恐喝なんでもありのエージェントヘンリー・ウィルソンを演じたのは、ジム・パーソンズ。人気コメディドラマシリーズ『ビックバン・セオリー』で主人公のシェルドンを演じて人気に。
Netflixドラマ『ハリウッド』予告映像
Netflixドラマ『ハリウッド』感想【ネタバレあり】
懐かしき(知らないけどw)ハリウッドの内幕が、全体的に軽やかにトーンで描かれて面白かった。特に4話目以降、お話が動き出してからはぐいぐい引き込まれて行きました。
企画から脚本の執筆、キャストの選別、撮影と映画製作の舞台裏がありありと描かれているので、映画好きな方は見て損はしないですね。
ハリウッド黄金時代の小ネタがそこら中に散りばめられているので、名作映画に詳しいとより楽しめる内容ではあるかと思います。
実話ではないけれど、実在の人物が沢山登場
本作は実話というわけではありませんが、実在の人物がモデルになったキャラクターが登場します。
主要メンバーのひとりロック・ハドソンは実際にハリウッドで活躍した二枚目俳優ですし、嫌みなプロデューサーのヘンリー・ウィルソンも実在の人物がモデルです。
「風と共に去りぬ」で主演のスカーレット・オハラを演じたヴィヴィアン・リーも登場してました。作中でも「風と共に去りぬ」に出演したことを自慢してましたね。
実在の人物が何人も登場することで、当時のハリウッドの空気のリアリティを与えたかったんでしょうね。
作中、監督のレイモンドと脚本のアーチーが製作に取り組んでいた映画「ペグ」も、失意の中で命を絶った実在の女優ペグ・エントウィスルを題材にしたもの。
この時代のハリウッドを昔話として馴染んでいるであろうアメリカの方が羨ましい!
いくつものハリウッドの影に焦点を当てた物語
ジャックは妻とお腹の子を養うため、売春業に勤しみます。顧客はハリウッドの大物女優やプロデューサーたち。
でも、作品の面白いところは、ジャックがやむ追えず手を染めることになる売春業について、あまり批判的なテイストでは描いていなかったところ。
あの時代のハリウッドで繰り広げられていた性の営みをあるがままに描こうといった感じ。肯定でも批判でもなく、”当時はこんな感じだったんだよ”と。
性に関する話でいうと、新人俳優のロックは、エージェントから枕営業を強要されます。ハーヴェイ・ワインスタイン事件からも分かるように、今なお続くハリウッドの大きな問題なんでしょうね。
最後は夢と希望があふれる展開に
最後は、紆余曲折ありながらも大きな夢を掴む展開に。
まさに”ハリウッド・ドリーム”といったところ。
多少ご都合主義的なイベントが起こるものの、見せ方がとても上手かったので、とても楽しめました。
作中でカミールが見せた演技は、結構グッとくるものがありましたね。
『ハリウッド』を見るときに知っておきたいキーワード
ここで、ドラマで描かれた時代背景や映画用語をある程度知っておくと、より楽しめると思い、作中に登場したキーワードをいくつか紹介します。
スクリーンテスト
新人俳優の発掘や配役を決めるために、実際の映画セットを使って演技のオーディションをすること。
実際のセット使ってフィルムも回すからお金がかかるはず。新人はスクリーンテストにこぎつけるだけでも大変そう。
ヘイズコード
かつてのハリウッド映画に存在した自主規制のこと。検閲というよりは、過激な抗議を受けないように業界自ら制定したガイドライン。グリーン・コードとも。
例えば、不倫を肯定的に描くことや、聖職者を悪者として描くことなどが規制されていた。
ジム・クロウ法
1964年までアメリカ南部に存在した人種差別的な法律群の総称。黒人を中心とした有色人種の一般施設の利用制限などが存在した。
公民権運動の高まりによって、廃止された。
ジム・クロウとは、白人が黒塗りして黒人を滑稽的に演じるミントレル・ショーで登場する黒人の名前。
KKK
KKK(クー・クラックス・クラン)とは、アメリカの秘密結社で、「白人至上主義団体」とよく言われることもある。黒人やアジア系(近年ではヒスパニック系も)の権利拡大に反対する団体で、時には過激な抗議活動で逮捕者が出ることもある。
現在は団体はかなり規模が小さくなったものの、活動自体は継続している。
近作では、ブラック・クラウンズマンがKKKについて描いたことで有名。
最後に
売春や枕営業といった性に関する話やマイノリティ差別と結構後ろ暗くなってしまいがちなテーマを扱っていながらも、それらに屈せず、映画製作に夢と情熱を傾ける姿はキラキラしていました。
それに、音楽と場面展開のテンポがとっても良いので、全体としてかなり軽やかな印象です。
映画好きな方、お仕事ものが好きな方にはもちろんオススメです。衣装や美術がクラシカルで素敵だったので、そういうのが好みの方にもオススメ。
類似のテーマで映画製作の苦労と喜びを描いた作品だと『人生はシネマティック』もいいですよ。
それでは、また次の作品でお会いしましょう。